定例会開催報告 第61回「困った事例の対処法~医療の現場から~」

2018-08-14

皆様こんにちは。当会幹事の成田元気です。平成30年7月23日に開催した定例会の報告を致します。今回は「困った事例の対処法~医療の現場から~」と題して、認知症の方への告知・権利・意思決定をテーマに定例会を行いました。

第61回定例会(7月)の広報

講師兼プレゼンターとして、当会の幹事の一人でもあり三愛病院に勤務されている精神保健福祉士の竹内亮介さんに講演をして頂きました。竹内さんからは実際にあった3事例を提示して頂きました。
事例としては、

1.認知症疾患医療センターを受診し認知症の診断を受けたが、告知を本人へしない状況でサービスを調整し拒否をされたケース。

2.入院中に認知機能が低下し、医師より認知症であると家族へ説明をしたが「そんな事はない」と理解して貰えなかったケース。

3.最近、車を擦ることや車庫にぶつける事が多くなり、家族が心配で病院を受診、認知症の診断を受けたが自動車の運転をやめずにいるケース

の紹介がありました。

ディスカッションでは、①同じような経験はあったか、事例を聞いてどう感じたか、②本人が置いてけぼりになっていないか、どうすれば本人が幸せになるのかといった2つのテーマに分けて行いました。

ディスカッション①では、「告知は誰がするべきか、家族・医師・信頼している人となるのでは」「告知は無理にする必要は無いのではないか」「進行していれば本人の理解は難しい」「認知症の言葉の表現自体がよくない」「認知症の薬を処方されている人でも話した感じでは分からない場合がある」「車は利便性が高く不便になるだけで手放すメリットがない、何かメリットがあれば手放せるかも」等の話しが出ていました。

ディスカッション②では、「まずは本人の事(生活歴など)を知る事が大切」「自分が認知症になったらどうするかを事前に決めておく」「認知症に対する社会の考え方を変えていく必要があるのでは」等の意見が出ておりました。

今回の定例会では、認知症ケアが推進されている中で、当の本人が取り残されているのでは無いかとの視点から、改めて認知症になられた方の権利や意思決定について考える機会を得ました。グループでの話し合いを通して、認知症と診断を受けた方やその家族の状況を具体的に知り・考える事が出来た等、また、様々な意見を聞く中で新たな発見をされた参加者もいらっしゃいました。
竹内さんは「日頃の業務の中で患者さんに対してインテークをしっかり行い、生活歴をとても細かく聞く」と話されておりました。病名・制度・サービスの理解も重要ですが、まずはご本人がどう生きてきたのか等「その人を知る」事の大切さを共有する事が出来た会となりました。

次回は「困難事例の対処法パートⅡ~在宅支援の現場から~」です。日時は9月14日の金曜日を予定しておりますので、是非ご参加下さい!

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